サブエージェントは、AIに仕事を任せるときの小さな専門チームです。親となるAIが全体の目的を持ち、調査・検証・レビューのようなまとまりのある仕事を別のAIへ渡します。各担当は作業後、要点を親へ返し、親が最終的な判断や成果物づくりを担います。
「AIに一度に全部お願いすればよいのでは?」と思うかもしれません。小さな依頼ならその通りです。一方で、資料の読み込み、選択肢の比較、コードの確認などが重なると、ひとつの会話に情報を詰め込みすぎて大事な判断材料が埋もれがちです。そこで役割ごとに作業を分けると、AIをより落ち着いて使えます。
サブエージェントをひと言でいうと
サブエージェントとは、親エージェントが委任した範囲の決まった仕事を、独立したコンテキストで進めて結果を返す担当です。
単なる「追加のチャット」ではありません。一般に、担当ごとに指示、利用できるツール、権限、作業範囲を分けられます。親は成果を受け取り、重複や矛盾を整え、最終回答に責任を持ちます。

親エージェントとサブエージェントの役割
親エージェントは、いわば編集長です。目的を決め、仕事を分け、返ってきた内容を統合します。サブエージェントは担当者で、決められた範囲を深掘りします。
- 親エージェント: ゴールを定め、依頼を分け、最終判断と統合を行う
- サブエージェント: 調査・テスト・レビューなど、限定された作業を実行して要約を返す
- 人: 優先順位、公開可否、リスクの受け入れを決める
ここで重要なのは、仕事を渡しても最終責任まで自動で渡るわけではないことです。特に顧客情報、公開原稿、設定変更を扱う場合は、親エージェントと人の確認を残しましょう。
何がうれしいのか
メインの会話を散らかしにくい
大量の検索結果やログを読む仕事を別担当に任せると、親エージェントには結論と根拠だけが戻ります。全体の意思決定に必要な文脈を保ちやすくなります。
独立した作業を並行できる
たとえば「公式資料を調べる」「既存ファイルを確認する」「原稿をレビューする」は、互いの途中経過を待たずに進められることがあります。このような読み取り中心で独立性の高い仕事は、分担と相性がよい領域です。
専門ごとのルールを持たせられる
調査役には出典URLを必須にする、レビュー役には変更提案だけを返させる、といったルールを担当ごとに固定できます。毎回同じ品質基準を伝える手間を減らせます。
向いている仕事・向いていない仕事
サブエージェントが活きるのは、入力と出力がはっきりしていて、担当同士があまりぶつからない仕事です。
向いている例は次のとおりです。
- 複数の公式資料を分担して読み、根拠付きで要約する
- コードベースの構成調査、テスト結果の確認、セキュリティ観点のレビューを分ける
- いくつかの施策案を並行して出し、比較材料を集める
- 長いログや議事録から、論点と未決事項だけを抽出する
一方で、次のような場面は分けすぎないほうが安全です。
- 複数担当が同じファイルを同時に編集する
- 作業中に共有前提が頻繁に変わる
- 最終的に一貫した企画判断そのものを求める
特に並行した書き込みは、競合や手戻りを起こします。並行化は速さの魔法ではなく、独立した仕事を見つける設計です。
Claude CodeとCodexでは何が違う?
どちらも「親が専門担当へ仕事を委任し、別コンテキストで処理し、結果を集める」という考え方は共通です。ただし、説明している単位と運用の見せ方には違いがあります。
Claude Codeは、組み込みの担当に加え、カスタムサブエージェントを定義し、専用のシステムプロンプト、ツール、権限、モデルを設定して再利用する形を明確に案内しています。また、同一セッションで動くサブエージェントと、バックグラウンド実行・セッション間のやり取り・エージェントチームは別の仕組みとして区別されています。
Codexは、複数の専門エージェントを並列に動かして結果を集めるサブエージェント・ワークフローと、その作業単位であるエージェントスレッドを中心に説明しています。ローカルのCodexでは役割ごとの指示やモデル設定も可能で、独立した読み取り作業の並行化に向きます。一方、サブエージェントごとにトークンを使うこと、並行して同じファイルを書くと衝突しうることも明記されています。
つまり、概念は近いものの、Claude Codeでは「再利用できる専門担当の定義」、Codexでは「並列ワークフローと結果の統合」が特に前面に出ています。利用できる機能は製品・プラン・バージョンで変わるため、実際に設定する前に公式ドキュメントを確認してください。
うまく任せる指示の5要素
サブエージェントの結果は、最初の依頼文でかなり変わります。次の5つを短く入れると、脱線しにくくなります。
- 目的: 何のために調べる・作るのか
- 範囲: 見る資料、触れてよいファイル、対象外にすること
- 出力形式: 箇条書き、結論先出し、出典URL付きなど
- 使える手段: 許可するツールや、変更してよいかどうか
- 完了条件: どこまで確認したら返すか
たとえば「最新の公式資料だけを3件まで確認し、結論・根拠URL・注意点を各1行で返してください。設定変更はしないでください」のように書けます。これだけで、親が受け取る結果を比較しやすくなります。
最初の一歩は2担当で十分
はじめから大人数にする必要はありません。まずは「調査役」と「レビュー役」の2つだけで試すのがおすすめです。親エージェントに統合を任せ、結果の重複、抜け、手戻りを見てから担当を増やしましょう。
サブエージェントは、AIを人数の多い組織に変えるための機能ではありません。考える場所を分け、必要な結果だけを持ち寄るための道具です。仕事の境界を丁寧に決めるほど、AIとの協働は軽やかになります。
参考資料
※ 記事内の仕様説明は、2026年8月17日時点で公開されている各社の公式ドキュメントをもとにしています。

